ビデオキャプチャーユニット GV-USB2 と PCA-DAV2 を比較してみる

ビデオキャプチャーユニット GV-USB2 と PCA-DAV2 を比較してみる 1

ニンテンドークラシックミニやメガドライブミニなどの影響もあってか、YouTube などの動画サイトではレトロゲームのプレイ動画の人気が高いようです。

それらの復刻版ミニゲーム機は手軽に綺麗な画面で遊べて良いのですが、当時の実機でプレイするというのも味わいがあって良いものです。

さて、レトロゲームの動画を録画したり配信したりするときに必要となるのがビデオキャプチャーユニットです。

プレイステーション 3 以降の機器など、HDMI 接続の映像を録画するためには少し高価なビデオキャプチャーユニットが必要ですが、レトロゲームのようにコンポジット接続や S端子接続の機器の場合は廉価な USB 接続のビデオキャプチャーユニットがおすすめです。

定番とされるがアイ・オー・データ製の GV-USB2プリンストン製の PCA-DAV2 で、10 年近く前の製品でありながら使用者が多く、お手頃な価格ということで現在でも人気が高いようです。

ビデオキャプチャーユニット GV-USB2 と PCA-DAV2 を比較してみる 2

この記事では GV-USB2 と PCA-DAV2 のビデオキャプチャーユニットを実際に使用して、画質や音質などを比較してみます。

仕様の違い

はじめに、製品仕様をもとに比較してみます。

 GV-USB2PCA-DAV2
発売日2010年9月2007年10月
インターフェイスUSB2.0USB2.0
エンコード方式ソフトウェアエンコードソフトウェアエンコード
録画フォーマットMPEG-2MPEG-1, MPEG-2
ビデオ画素数352×240, 352×480, 720×480160×120 ~ 720×480
入力端子コンポジット, S端子コンポジット, S端子
添付ソフトLightCaptureArcsoft ShowBiz DVD2
ケーブル長 (実測値)パソコン接続側 約 50cm
ビデオ入力側 約 15cm
パソコン接続側 約 50cm
ビデオ入力側 約 14cm
対応 OSWindows 10 (32 ビット, 64 ビット)
Windows 8.1 (32 ビット, 64 ビット)
Windows 8 (32 ビット, 64 ビット)
Windows 7 (32 ビット, 64 ビット)
Windows Vista (32 ビット)
Windows XP SP2 以降
Windows 8.1 (32 ビット, 64 ビット)
Windows 8 (32 ビット, 64 ビット)
Windows 7 (32 ビット, 64 ビット)
Windows Vista (32 ビット)
Windows XP SP2 以降

外見だけでなく、スペックもよく似ています。

録画フォーマットの違いはエンコード方式がソフトウェアエンコードなので添付ソフトの違いによるものだと思いますが、そもそも添付のソフトの評判はどちらもあまり良くありません。

録画や配信はアマレコ TV4 LiveOBS (Open Broadcaster Software) など、無料で使える高性能なソフトがありますので無理に添付のソフトを使う必要はなさそうです。

対応 OS は、GV-USB2 は現行品なので Windows 10 に対応していますが、PCA-DAV2 は販売が終了しておりドライバが Windows 8.1 までしか対応していません。

環境によっては動作しないことがあるかもしれませんが、PCA-DAV2 でも Windows 8.1 用のドライバを使うことで Windows 10 で動作させることができました。

現在、PCA-DAV2 の後継機として、正式に Windows 10 に対応している PCA-DAV4 というモデルが販売されていますが、私は今回、型落ちということもあって非常に安く手に入る PCA-DAV2 を購入しました。

形式の違い

ビデオキャプチャーのためのフリーウェア「アマレコ TV4 Live」を使って選択できるフォーマットを確認してみました。

GV-USB2
*w= 176, h= 144, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 180, h= 144, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 352, h= 288, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 360, h= 288, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 704, h= 576, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 720, h= 576, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 176, h= 120, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 180, h= 120, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 352, h= 240, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 360, h= 240, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 704, h= 480, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 720, h= 480, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
w= 176, h= 144, fps=50.00,  fcc=YUY2, bit=16
w= 180, h= 144, fps=50.00,  fcc=YUY2, bit=16
w= 352, h= 288, fps=50.00,  fcc=YUY2, bit=16
w= 360, h= 288, fps=50.00,  fcc=YUY2, bit=16
w= 704, h= 576, fps=50.00,  fcc=YUY2, bit=16
w= 720, h= 576, fps=50.00,  fcc=YUY2, bit=16
w= 176, h= 120, fps=59.94,  fcc=YUY2, bit=16
w= 180, h= 120, fps=59.94,  fcc=YUY2, bit=16
w= 352, h= 240, fps=59.94,  fcc=YUY2, bit=16
w= 360, h= 240, fps=59.94,  fcc=YUY2, bit=16
w= 704, h= 480, fps=59.94,  fcc=YUY2, bit=16
w= 720, h= 480, fps=59.94,  fcc=YUY2, bit=16
PCA-DAV2
*w= 160, h= 120, fps=25.00,  fcc=I420, bit=12
*w= 320, h= 240, fps=25.00,  fcc=I420, bit=12
*w= 352, h= 288, fps=25.00,  fcc=I420, bit=12
*w= 640, h= 480, fps=25.00,  fcc=I420, bit=12
*w= 160, h= 120, fps=29.97,  fcc=I420, bit=12
*w= 320, h= 240, fps=29.97,  fcc=I420, bit=12
*w= 352, h= 240, fps=29.97,  fcc=I420, bit=12
*w= 352, h= 288, fps=29.97,  fcc=I420, bit=12
*w= 640, h= 480, fps=29.97,  fcc=I420, bit=12
*w= 160, h= 120, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 176, h= 144, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 320, h= 240, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 352, h= 288, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 352, h= 576, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 360, h= 576, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 480, h= 576, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 640, h= 240, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 640, h= 480, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 720, h= 288, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 720, h= 576, fps=25.00,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 160, h= 120, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 176, h= 144, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 320, h= 240, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 352, h= 240, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 352, h= 288, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 352, h= 480, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 360, h= 480, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 480, h= 480, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 640, h= 240, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 640, h= 480, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 720, h= 240, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16
*w= 720, h= 480, fps=29.97,  fcc=YUY2, bit=16

先頭に * が付いているものはデバイスの推奨設定です。

PCA-DAV2 のほうが選択できる項目が多く、画面のサイズを細かく設定できるようですが、FPS の最大値は 29.97 となっています。

GV-USB2 は FPS の最大値が 59.94 となっており、360 × 240 サイズにすればインターレースのない 59.94fps の録画が可能です。

また、GV-USB2 は設定画面の [VID DEINTERLACE METHOD] という項目からインターレース解除の方法を選択できるようになっているのですが、私の環境ではどれを設定しても変化がなく、インターレースが解除されないようなので検証できませんでした。

録画形式の違い

遅延について

ビデオキャプチャーにおいて問題となるのが遅延、つまりゲームの映像をパソコンの画面に表示させたときのタイムラグです。

どんなビデオキャプチャーユニットでも遅延は必ず発生しますので、根本的に解決するためには映像ケーブルを分岐させてテレビなどの別画面に出力させるなどの対策が必要です。

製品によっては映像信号を遅延なく外部に出力することができるパススルーという機能が搭載されているものもありますが、GV-USB2 と PCA-DAV2 にはそのような仕組みはありません。

しかしながら、エンコード方式がソフトウェアエンコードのものは遅延が少ないとされており、体感的にも GV-USB2 と PCA-DAV2 は遅延は少ないほうだと思いました。

遅延についてはパソコンのスペックや環境によっても異なりますし、プレイするゲームの種類やプレイヤーの感覚によって許容範囲かどうかも変わってきますので一概には言えませんが、どう見てもおかしいレベルで数秒単位の遅延が発生する場合はパソコンのスペックや環境を見直してみると改善されるかもしれません。

画質の違い

気になるのは録画したときの画質です。実際に GV-USB2 と PCA-DAV2 を使って、レトロゲームの映像をいくつか録画してみました。

なお、デバイスの [画像の調整] という機能で明るさや色合いなどをある程度、調整することができるようになっていますが、設定できる項目や基準となる数値はデバイスに依存するようですし、画質の傾向までは変化しません。

画質の傾向と特徴を比較するため、 [既定値] をメーカーの推奨値と考え、初期値から変更せずそのまま録画しましたが、参考までに設定画面を掲載しておきます。

GV-USB2

GV-USB2 の画像の調整

GV-USB2 はガンマやホワイトバランスなどの項目がありますが、私の環境ではガンマ以下の項目を変更しても画像に変化は見られませんでした。

PCA-DAV2

PCA-DAV2 の画像の調整

例えば、GV-USB2 の [鮮明度] は 0 ~ 255 の範囲で調整できますが、PCA-DAV2 は 0 ~ 15 の範囲だったりと、GV-USB2 と PCA-DAV2 では各項目の基準値が異なります。

ファミリーコンピュータ (HVC-CPU-GPM-02)

コンポジット

ファミリーコンピュータ (HVC-CPU-GPM-02) コンポジット

ファミコンは後期型を AV 化して縦縞対策済みのものを使用しました。縦縞対策をしても少し縦縞が残っていましたが、GV-USB2 のほうは縦縞がほとんど気にならないレベルです。

また、GV-USB2 は色が鮮やかでソフトな画質ですが、PCA-DAV2 はやや色が薄くシャープな画質で輪郭付近のギザギザが目立ちます。

スーパーファミコン (SNS-CPU-GPM-01)

コンポジット

スーパーファミコン (SNS-CPU-GPM-01) コンポジット

S端子

スーパーファミコン (SNS-CPU-GPM-01) S端子

GV-USB2 はコンポジット接続でも良好ですが、S端子接続だとドットが非常に鮮明でさらに美しい画質となっています。

PCA-DAV2 はファミコンのときと同様、コンポジット接続では輪郭付近にギザギザがありますが、S端子接続だとそれほど目立ちません。

プレイステーション (SCPH-9000)

コンポジット

プレイステーション (SCPH-9000) コンポジット

S端子

プレイステーション (SCPH-9000) S端子

GV-USB2 はコンポジット接続だと暗い部分が若干見えづらくなっています。PCA-DAV2 のほうが鮮明に見えますが、S端子接続だと暗い部分に縦縞が入っているように見えます。

プレイステーション2 (SCPH-50000)

コンポジット

プレイステーション2 (SCPH-50000) コンポジット

S端子

プレイステーション2 (SCPH-50000) S端子

ノベルゲームの文字はコンポジット接続の場合、PCA-DAV2 のほうがくっきりしていて読みやすそうです。

S端子接続の場合は GV-USB2 のほうが良好で、PCA-DAV2 は文字の輪郭のギザギザが目立ちますが、この辺りは [画像の調整] で緩和できる範囲かもしれません。

音質の違い

音質の違いについては比較するのが難しいのですが、一応、簡単なチェックをしてみました。

まず、信号発生ソフト WaveGene を用いて 1000Hz (正確には 996.09375Hz) のサイン波を -3dB で生成し、その信号を ONKYO のサウンドカード SE-200PCI で出力して、ビデオキャプチャーユニットに入力します。

次に、スペクトラムアナライザー WaveSpectra を用いて、最大の dB 値が -3dB 付近になるようにデバイス側の録音レベルを調整し、THD (歪率) と S/N を確認してみました。

SE-200PCI のライン出力は S/N 比 115dB ということなので、16 ビットの WAV ファイルの S/N 比の最大値である 96dB よりも余裕がありますから、出力として使用しても問題ないはずです。

とは言え、このように大雑把な方法で計測した S/N 比が当てになるはずもありませんが、細かいことは気にしない方向で進めます。

WAV ファイル

音質の違い 1

もとの信号はこのように綺麗なデータが表示されており、1000Hz が正しく記録されていることが分かります。-3dB のサイン波で S/N は 93.62dB ということですから、ほぼ正しい値だと思います。

SE-150PCI

音質の違い 2

ビデオキャプチャーユニットだけの比較だと不安なので、基準として高性能なサウンドカードとされる SE-150PCI のライン入力のデータを取ってみました。

SE-200PCI で出力して SE-150PCI に入力しました。SE-150PCI のライン入力における S/N 比なんてどこにも記載されていませんが、ノイズは -100dB 付近なので気にならないレベルです。

また、-3dB の入力信号に対して SE-150PCI のライン入力の録音レベルを 100 (OS の機能で設定できる最大値) とすることでほぼ -3dB の入力となり、仕様的にも良くできていると思います。

GV-USB2

音質の違い 3

SE-150PCI には及びませんが、ほぼ良好な結果だと思います。入力が -3dB 付近ということで大きめだからか少し歪みが見えますが、普通に使うぶんにはクリアな音質で録音が可能です。

GV-USB2 は録音デバイスとして認識されず、OS の機能では録音レベルの調整ができませんが、そのままの状態で正しく -3dB の入力信号をほぼ -3dB で記録してくれました。

PCA-DAV2

音質の違い 4

実はこれが問題でした。標準のドライバ "USB EMP Audio Device" の場合は録音レベルの調整ができないうえに、かなり爆音で録音されてしまいます。

ドライバを "USB オーディオデバイス" に変更すると、OS の機能で録音レベルの調整ができるようになりましたが、普通の音量で録音するためには録音レベルを 2 か 3 ぐらいの非常に小さな値にしなければなりませんでした。

今回の実験では、録音レベルを 2 まで下げてやっと -3dB の入力信号を -2.29dB で記録できましたが結果としては歪みが目立つようです。

入力信号を -10dB ぐらいまで下げると歪みは少なくなりましたが、基本的な録音レベルが大きすぎるというのは問題です。ドライバの不具合か OS との相性か、原因は分かりませんが…。

以上、音質を簡単にチェックしてみた結果としては、GV-USB2 のほうが PCA-DAV2 よりもノイズと歪みが少なく、原音に近い音で録音できているような気がします。

結論

普通に買うなら断然 GV-USB2 のほうがおすすめです。

参考のため、AV 化を施した後期型のファミコンを GV-USB2 にコンポジットで接続し、59.94fps で録画した動画を掲載しておきます。

スーパーマリオブラザーズの 1-1 で、ドカンに入らない最速タイム 348 をがんばってみました。

これは GV-USB2 の映像を「アマレコ TV4 Live」で録画しながらプレビュー画面でプレイしたのですが、マリオぐらいのアクションゲームなら遅延を気にすることなく遊べました。

PCA-DAV2 はすでに販売が終了しているのでわざわざ在庫を探してまで買おうとする人は少ないかもしれませんが、安く手に入る定番のビデオキャプチャーユニットということで、選択肢の一つになると思います。

結論

映像の明るさや色合いの調整はデバイスの機能で可能ですし、動画編集ソフトを使えばノイズ除去などもできますので、録画の画質の重要性は低いかもしれません。

そもそもレトロゲームの画質ですし…。

また、PCA-DAV2 は録音レベルの問題がありますが、音声の録音はサウンドカードやオーディオインターフェイスを使うこともできますので気にするほどではありません。

そういうわけで結論です。

すでに GV-USB2 を持っているかたは PCA-DAV2 を買う必要はないと思います。

また、PCA-DAV2 から GV-USB2 への買い替えを検討されているかたは、後継機の PCA-DAV4 や、ワンランク上のビデオキャプチャーユニットという選択肢もありますので悩ましいところです。

ちなみに私はずっと PCA-DAV2 を使用しており、まったく不満はなかったのですが、GV-USB2 が安くなっていたのでつい買ってしまいました。

実際に使ってみましたが、そのときはほとんど違いがわからず、どっちでもいいやと思って使い慣れた PCA-DAV2 を使い続けていました。

今回、記事を書いたことではじめて GV-USB2 の魅力に気付き、これは素晴らしいものだと思いました。今後は GV-USB2 を愛用していこうと思います。

I-O DATA ビデオ/VHS 8mm DVD ダビング パソコン取り込み ビデオキャプチャー 「アナレコ」 GV-USB2

I-O DATA ビデオ/VHS 8mm DVD ダビング パソコン取り込み ビデオキャプチャー 「アナレコ」 GV-USB2
アイ・オー・データ
安くて便利で簡単。レトロゲーム向けビデオキャプチャーユニットの決定版!

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