鼻毛鯖というのは 2010 年に NEC から発売されたサーバーマシンで、Express5800 / S70 タイプ RB というモデルです。
当時、新品が 16,800 円という価格で販売されており性能はそこそこ良く、サーバーマシンと言いつつも普通のパソコンとしても使用できることから人気となり、なぜか特典としてパナソニック製の鼻毛カッターが付いてくるということで鼻毛鯖と呼ばれるようになりました。
この鼻毛鯖ですが CPU はインテル® Pentium® プロセッサー G6950 が載っており、発売から10 年近く経過した現在でもメモリを少し足せば Windows 10 をインストールして普通に使えるぐらいのスペックではあります。
今回はそんな鼻毛鯖の CPU をジャンク品の Core i5-760 に換装してみる遊びです。
現状を記録する
CPU を換装する前に現状を記録しておきます。
Pentium G6950 ということで 2 コアの 2.80 GHz です。OS は Windows 7 なので簡単にエクスペリエンスインデックスが取得できます。
グラフィックスの数値が一番低いです。
グラフィックボードは ASUS の NVIDIA GeForce GT730 を載せていますので CPU を換装しても数値は変化しないと思いますが、Pentium G6950 は GPU が内蔵されていて、Core i5-760 は GPU が内蔵されていないので、もしかすると換装後に数値が低下するのかもしれません。
タスクマネージャーの CPU 使用率表示は 2 コアなので 2 枠です。
CPU を換装する
久しぶりにケースを開けてみます。鼻毛鯖のケースはこれぞサーバーマシンといった渋いデザインなのですが、私は ANTEC のケースに入れ替えています。
そうそう。大事なポイントですが、パソコンのケースを開けるときは必ず電源ケーブルを抜いておきましょう。
雪のように積もったホコリを除去する遊びを期待していたのですが、思いのほか綺麗だったのでクイックルワイパーのモフモフのやつで軽く掃除するだけで終了。
CPU ファンを外します。鼻毛鯖に標準で付いている CPU ファンはプッシュピン式なので 4 つの足に付いているハンドルをそれぞれ、表記されている矢印の方向に回転させた状態で上に引き抜けば外れます。
Pentium G6950 が見えました。汚く見えるのはシリコングリスです。
CPU ファンにも汚いシリコングリスがべったりと付いているので、これを綺麗にしていきます。
ティッシュにアルコールを付けて拭き取れば割と簡単に綺麗になります。
ついでにファンの部分やヒートシンクの部分もハケなどで掃除しておきましょう。
数分後、ようやくシリコングリスが取れて美しい状態になりました。
金具の部分なども一生懸命に拭き取りましたので、輝きが違いますね。
これだけピカピカにしておけば新しい CPU さんもご機嫌に違いありません。
新しい CPU をマザーボードに搭載します。CPU を載せる瞬間というものは本当に心地よい緊張感と充実感です。
さて、シリコングリスを塗っていきましょう。
いつ購入したのかすら覚えていないシリコングリスが見つかりましたので、これを使用します。
たぶん一番安いやつですが、オロナイン H 軟膏でも大丈夫なんていう話もあるぐらいなのできっと大丈夫でしょう。
ところで、シリコングリスの塗り方にはいくつか方法がありますが、これはお好みで良いかと思います。
CPU の上にぶにゅっと盛った状態で、ヒートシンクを取り付けるときの圧力で密着させる方法もあります。
私の場合は、安物のシリコングリスなのでなるべく薄く塗ります。素手で、指先に付けて、虫刺されの跡に肌に擦り込むような感覚で薄く伸ばしていきます。
銀入りの高価なシリコングリスなどですと、厚めに塗っても大丈夫だと思います。
一般的には CPU 側だけでも良さそうですが、安物のシリコングリスを極薄で塗っているので、プッシュピン式のファンでは密着しない箇所が出てくることがあります。
CPU ファンのヒートシンクにも薄く塗っておけば、取り付けるときの圧力が足りなくても意外とくっつきます。
CPU ファンを取り付けて作業終了。
と、思っちゃうところですが油断は大敵。CPU ファンのピンをマザーボードに接続するのを忘れないようにしましょう。
動かしてみる
ドキドキを抑えつつ、電源を入れてみます。
無事、Core i5-760 と認識されました。
エクスペリエンスインデックスの [プロセッサ] の数値は 6.5 から 7.3 になりました。
[グラフィックス] の数値が 5.6 から 5.4 に下がってしまいました。グラフィックボードを載せていても内蔵 GPU の性能が数値に反映されているのでしょうか。
タスクマネージャーの CPU 使用率表示が 4 枠に増えました。
アイドル時の CPU の温度は 40 度前後でしたが、高負荷時には最大で 75 度 (表の右端の数値) ぐらいまで上がることもあって精神衛生上よろしくありません。
その後、数時間 Youtube の動画を流しっぱなしにして検証してみましたが、一応、40 ~ 50 度で安定しており 60 度は超えませんでした。
あと、鼻毛鯖は一部の CPU でファンがフル回転して爆音になるという現象が報告されておりドライヤーとかジェットエンジンなどと呼ばれていますが、私の環境 (Windows 7 で KB3064209 は未適用) では CPU 換装前と同様に静音を保っています。
実際のところ、やはり従来と比べると体感速度としては全然違います。
HDD から SSD に換装したときは感動したものですが、コア数が 2 から 4 になると新しいパソコンを買ったときに近い感動があります。
そんな Core i5-760 ですが、現時点では中古品またはジャンク品が 1,000 円ぐらいで入手できますから、置物になっている鼻毛鯖に新たな命を吹き込む遊びも楽しいですよ。
追記
高負荷時の CPU の温度が高すぎるのでエアフローを改善してみました。
ケースは ANTEC の NSK2480 を使用していますが、これの後部 (CPU の後ろ) に空いている窓って排気窓ではなく吸気窓だったのですね。
今まで、その窓めがけてサイドフロー型の CPU ファンから熱を放出していましたが、まったく逆だったということで…。
エアフローを改善してみる
CPU ファンの向きを変更し、後部の吸気窓から新鮮な空気を取り込んで排気用ファンから放出するようにしました。
さらに、排気用ファンから放出された温風が再び吸気窓に侵入しないよう、排気用ファンの外側にダクトを設けて明後日の方向に放出するようにしてみました。
高負荷時にはダクトから暖房器具のような温風が放出されますので冬場は便利です。
ともあれエアフローを改善した効果は絶大で、アイドル時の温度はそれほど変わらないものの、高負荷時の温度は 10 度ぐらい下がりました。
上の図は動画ファイルのエンコードを行っているときの温度ですが、高負荷時に 65 度前後ということで以前よりだいぶ改善されていることが分かります。
結論
10 年経っても使える鼻毛鯖はすごいですが、10 年経っても普通に使えているパナソニック製の鼻毛カッターもすごいです。