今回もジャンク品を仕入れることができませんでしたので、以前に購入した大人の科学の付録のテルミンを改造して暇つぶしをしようと思います。
目次
テルミンって?
テルミンというのは 1920 年にロシアで発明された世界最古の電子楽器で、本体に付いているアンテナに手をかざすだけで音が出るという不思議な楽器です。
テルミンは神秘的な音色も特徴で、例えば女性の歌声のような音やバイオリンのような音を奏でることができます。
そんな最古の電子楽器ですが、現在でもアナログシンセサイザーで有名なあの MOOG からもテルミンが発売されていたりします。
大人の科学のテルミン
大人の科学というのは付録として組み立て式の実験キットなどがついている雑誌で、その内容は子供でも楽しめるものが多いのですが、価格は確実に大人向けだと思います。
大人の科学のテルミンは 2007 年 9 月 28 日発売、「大人の科学 Vol. 17」の付録となっていた、手のひらサイズの「テルミン mini」です。
それではテルミン mini を簡単にご紹介しておきます。
左側から飛び出している棒状の部分がオン/オフのスイッチとなっており、これを引っ張ることでスイッチオン、音量小、音量大を切り替えることができます。
右上に付いているのがアンテナで、ここに手をかざすことで音が出ます。アンテナに手を近づければ近づけるほど高い音、遠ざければ遠ざけるほど低い音になります。
左下に見える 2 つの穴はチューニングのための可変抵抗で、付属のプラスチックのマイナスドライバーのような棒で回転させてチューニングを行います。
単純な構造ですが、きちんとテルミンとして使えます。
ただ、やはり内蔵の小さいスピーカーはしょぼい音しか出ませんし、ピッチを合わせるのも非常に難しいため、普通の人は 5 分もすれば投げてしまうのではないでしょうか。
そんなこともあってか、この赤いテルミン mini から数年後、「テルミン mini+ 組立完成版」という外部出力端子とアースが追加されたバージョンが発売されました。
今回はこの初期型のテルミン mini に外部出力端子とアースを搭載して遊んでみようと思います。
外部出力端子を追加してみる
テルミン mini は内蔵のスピーカーから音が出ます。
内蔵のスピーカーでも普通に使うぶんには十分なのですが、外部出力を追加することでギターのエフェクターを接続したり、ライン録音したりして遊べるようになるという寸法です。
準備するもの
3.5mm ミニジャック
イヤホンなどのプラグを挿すときに使う 3.5mm のミニジャックです。
エフェクターなどと接続するのであれば 6.3mm 標準ジャックのほうが便利なのですが、取り付け場所の関係で今回は 3.5mm を使用します。
プラグを接続するとスピーカーはオフにしたいので、スイッチ付きのものを用意しました。
ドリル
ケースに穴をあけるために使用します。
ケースはプラスチックですし穴は 1 箇所だけなので、このような手動のドリルでも大丈夫です。
今回、取り付ける 3.5mm ミニジャックですと、ドリルの針の直径は 6.0 ~ 6.5mm ぐらいです。
熱収縮チューブ
テルミン mini の基板は配線がボンドでがっちりと固定されているので、配線を根元から取り外すことは困難です。
そこで配線を途中で切断し、3.5mm ミニジャックへ分岐させるのですが、配線同士の接続部を絶縁するために熱収縮チューブを使用します。
熱収縮チューブがなければビニールテープなどでも大丈夫だと思います。
テルミン mini の分解にはプラスドライバーが必要です。また、配線の切断にはニッパー、ハンダ付けにはハンダごてとハンダが必要となりますが、そのあたりは割愛させていただきます。
ケースに穴をあける
テルミン mini のふたを開けると背面にあたる部分にスピーカーが見えます。
青バージョンの組立完成版では、このスピーカーの横あたりに外部出力が追加されているようなのでそれを参考にします。
あと、可変抵抗を追加すれば外部出力の音量を調整できるようになると思いますが、今回は省略します。
背面のパネルに 3.5mm ミニジャックを取り付けるための穴をあけます。
穴をあける場所ですが、実はこれが非常にシビアで、少しでもずれると 3.5mm ミニジャックが支柱と干渉します。
事前に 3.5mm ミニジャックをあてて、支柱と干渉しない位置を計算してから穴をあけました。
結果、これぐらいの位置になりました。
背面にこだわらず、本体の側面などでも良ければもう少し余裕をもって取り付けられるのかもしれませんが、今回は組立完成版に寄せていく方針です。
と言っても、組立完成版を持っているわけではなく、インターネットで画像を検索して位置を確認しただけなので正確ではありません。
3.5mm ミニジャックを取り付けてみると、こんな感じで支柱をギリギリ避けています。
3.5mm ミニジャックの種類によっては支柱を切断しないと取り付けられないものもありそうです。
一度、組立完成版の内部を見てみたいものですね。
3.5mm ミニジャックを取り付ける
3.5mm ミニジャックはスピーカーへの配線を切断してその間に取り付けます。
組立完成版ではどのような配線になっているのかわかりませんが、大人の科学 Vol. 17 に掲載されている記事「テルミン mini 改造記」を参考にしました。
記事では 6.3mm 標準ジャックを使用し、支柱を切断しているようです。
3.5mm ミニジャックへの配線はプラグを挿すとスピーカーがオフになるようスイッチを利用した配線にしました。
配線同士の接続部は念のため熱収縮チューブで絶縁しておきます。
これで外部出力の取り付けは完了です。
アースを追加してみる
テルミン mini はそのままの状態ですと感度が低く、演奏やチューニングが非常に難しいのですが、アースを取り付けることでこれらの問題が若干改善されます。
準備するもの
アースと言ってもそんなに大したものではなく、どこのご家庭にもあるものを使って誰でも簡単に作れます。
アルミホイル
普通のアルミホイルです。
サランラップやクッキングシートでは駄目ですが、銅線などの通電するものであれば何でも構いません。
電池ボックスにアースを接続する
アルミホイルを適当なサイズに切り、1cm 程の幅にくるくると数回折り畳んでこのような形状にします。
電池ボックスの電池と端子の隙間にアルミホイルを挟み込みます。
もう片方の端がペラペラすると邪魔になるので、スピーカーが付いている背面の板の隙間に挟んでおけば良い感じです。
以上で完成です。外部出力端子とアースを追加すると、見た目は組立完成版に近い雰囲気になりました。
アースを付ける前は、手をアンテナの 10cm 以内ぐらいまで近づけないと反応しなかったのですがアースを付けた後は 30cm ぐらいまで距離が伸びました。
距離が伸びたことでチューニングの幅に余裕ができ、さらに演奏のときに音階の調整がしやすくなりました。
演奏してみる
外部出力端子が付いたのでパソコンなどを使ってライン録音が可能です。それでは早速、テルミンを演奏して美しい音色を堪能してみましょう。
と言いたいところですが、その前に、大人の科学のテルミンの音を聴いたことがないかたはご注意ください。
本物のテルミンとはかけ離れた、ひどい音がします。
そして音痴です。
神秘的な雰囲気のかけらもない、ただのブザーですね。あと、アースを追加したことで演奏しやすくなったとはいえ、テルミンはテルミン。音程を合わせて演奏するのはめちゃくちゃ難しいです。
今回、改造した大人の科学のテルミンを使って練習し、実際に演奏して動画を撮影するまでしたのですが、録画したはずの映像がイントロのあとすぐに真っ黒になっており、もう二度とあんな演奏できないわい!と思って諦めました。
しかし、いつものことながらカセット MTR でトラックを作成し、大人の科学のテルミンをエフェクターに接続して MTR をミキサーとして使いながらライン録音するスタイルだったので、音声だけは録音できていました。
演奏シーンがなくてつまらないかもしれませんが、可愛いエレノア・フォルテさんの画像だけのほうが意外と再生数が増えるのではないかという気もします。
とは言え、再生数が増えてもカバー曲なので YouTube の仕様上、広告が表示され、著作者に収益が入るようになっているとのことなので、特に意味はありません。
結論
テルミンの練習よりもエレノア・フォルテさんにロシア語を歌わせるほうが時間かかりました。
テルミン (大人の科学マガジンシリーズ)
学研プラス
手のひらサイズのテルミン。思ったよりヘビーな音が出ます。
Amazon で探す
楽天市場で探す